株主・投資家の皆様へ

株主、投資家の皆さまには、平素より格別のご高配を
賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに2025年3月期の事業の概要につきまして、
ご報告申しあげます。

第91期の総括および今後の方向性

Q1 2025年3月期のフクビ化学について

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の生産活動が持ち直し設備投資が堅調に推移する とともに、賃金上昇を背景とした個人消費の改善および、インバウンド需要の増加等が見られるなど緩やかな回復基調となりました。

 一方で、政策金利の引き上げによる企業の資金調達コストの上昇や、資源価格の高騰、物価高の影響 に加えて、米国の関税政策による世界経済減速の懸念が広がったことなどから、景気の先行きについては不透明な状況が続いております。

 当社グループに関連する住宅業界においては、持ち家や分譲住宅の減少が続く中、2025年4月の省エネ基準適合義務化や4号特例縮小といった法改正を前にした駆け込み需要が、同年3月に見られました。その結果、2024年度の新設住宅着工戸数は816千戸(前期比2.0%増)、床面積は 62,830千平方メートル(同1.0%増)となりました。非住宅建築分野においては、事務所、工場および倉庫の減少が見られ、同年度の民間非居住建物着工床面積は34,744千平方メートル(同 10.5%減)となりました。

住宅着工戸数_v2.png

Q2 中期経営計画について

 当社グループでは、 第7次中期経営計画「技術を押出し、未来へワクワク(2023年度~2027年度)」の基本方針に基づき事業活動を展開してまいりました。

・循環型ビジネス拡大

 屋外家具ブランドである『ファンダライン』シリーズでは、コンクリート製支持脚を採用した 3タイプのベンチを新たに発売し、環境配慮型製品のラインナップを拡充しました。また、木質資源の有効活用を目指して、ジャパン建材株式会社、株式会社ミヨシ産業、株式会社鳥取CLTとの連携による『モクユカ』の共同開発事業を推進し、2025年4月に販売を開始しました。

 引き続き、企業間連携を図りながら資源循環型ビジネスを加速し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

・強靭な収益基盤構築

 住宅建材では一部製品に弱さが見られたものの、成長分野等への取り組み強化により、連結売上高は前期を上回ることができました。また、収益性のさらなる強化と財務健全化の観点から引き続き、棚卸資産の適正化を進めております。

ⅰ断熱関連製品が好調に推移するとともに、自動車関連分野ではこれまで継続的に取り組んできた高付加価値の技術提案やスペックイン活動が奏功。

ⅱ新基幹システム稼働により、棚卸資産に関する情報の精度が向上。棚卸資産の再評価により一時的な費用計上となるも、将来に向けた収益性や財務基盤の強化に寄与。

ⅲ生産効率の改善では、作業工程の見直しを継続実施し、前年に稼働を開始した押出成形の標準化モデルラインが安定稼働。

・成長を後押しする組織づくり

 コーポレートガバナンス体制の強化は、成長を後押しする組織づくりの観点から最も重要な課題であると認識しており、CEO、COOのツートップによる新たな体制の下、監督と執行の役割の明確化を進めました。また執行体制では、迅速かつ的確な意思決定を実現するため、決裁権限の委譲や社内規程の整備を行いました。

 従業員エンゲージメント向上のための取り組みとして、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入いたしました。また、タレントマネジメントの観点から、人材情報のデータベース化を進めており、人材の最適配置や組織力強化につなげてまいります。

Q3 今後の対処すべき課題について

 令和6年能登半島地震からの復興課題や世界的な経済の構造変化、地球規模での気候変動リスクの高まり、そして生成AIをはじめとする技術革新など、私たちを取り巻く環境は大きな転換点を迎えています。こうした変化は、リスクである一方で新たな事業機会の創出にもつながります。当社グループは、この変革期を成長の契機と捉え、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を両立させる経営を推進してまいります。

 持続的な成長と企業価値の向上に向けて、当社グループでは以下の重点課題に取り組んでまいります。

①社会課題解決型ビジネスの拡大
  当社グループは、第7次中期経営計画で掲げる「循環型ビジネス拡大」を基本戦略とし、資源の有効活用と再生利用を促進する事業領域を重点的に強化してまいります。この循環型ビジネスの推進は、気候変動対応や地域活性化などの社会課題解決にも寄与します。当社の技術やノウハウを活かし、環境負荷低減と経済的成長を両立する持続可能なビジネスモデルの構築に注力してまいります。

②先端技術の戦略的活用と人材育成
  
生成AIをはじめとする先端技術を経営戦略上の重要な差別化要素と位置付け、積極的な投資と活用を進めます。同時に、これらの技術を効果的に活用できる人材の育成・確保を進め、イノベーションの創出と業務の高度化・効率化を実現してまいります。また、従業員一人ひとりの創造性を最大限に引き出す環境整備と、多様性を尊重する組織文化の醸成に努めてまいります。

③ステークホルダーとの関係強化
 多様なステークホルダーとの対話と協働を一層強化します。透明性の高い情報開示と建設的な対話を通じて信頼関係を深め、共創による価値創造を実現してまいります。また、投資家との対話においては、財務情報と非財務情報を統合した長期的価値創造のストーリーを明確に発信してまいります。

④グローバル経営基盤の強化
 国内市場の成熟化を見据え、海外市場での成長を加速させるためのグローバル経営基盤を強化します。地域特性を踏まえた現地化の推進と、グループ全体での経営資源の最適配分を両立させ、各地域の社会課題解決に貢献しながら、持続的な成長を実現してまいります。また、グローバル人材の育成と登用を積極的に進め、多様な視点を経営に活かす体制を構築してまいります。

Q4 株主様へのメッセージ

 当グループが主要マーケットとする国内住宅業界では、金利上昇による住宅取得意欲への影響に加え、資材価格高騰に伴う建設コスト増が続いており、新設住宅着工戸数の低水準での推移が予想されます。また、建設業界全体の構造的課題である人手不足と高齢化はさらに深刻化しており、生産性向上と技術継承は引き続き重要な経営課題となっています。

 こうした厳しい環境下においても、当グループは「2050年カーボンニュートラル」に向けた住宅の脱炭素化や、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの環境配慮型住宅の需要拡大、 ワークスタイルの変化に対応したリモートワーク対応住宅、さらには災害に強いレジリエント住宅など、社会ニーズに応える商品開発と提案力強化を図ってまいります。また、ストック市場におけるリフォーム・リノベーション事業やアフターメンテナンス事業の拡充により、フロー依存からストック型ビジネスへの転換を加速させてまいります。

 第7次中期経営計画における3つの基本戦略「循環型ビジネス拡大」「強靭な収益基盤構築」「成長を後押しする組織作り」を積極的に推し進めることで、2026年3月期の連結業績は、売 上高414億60百万円、営業利益21億20百万円、経常利益22億30百万円、親会社株主に帰属する当期純利益15億60百万円を予想しています。
 今後も中長期を見据えた計画の着実な実行により株主の皆さまのご期待に応える企業へと成長を果たす所存ですので、格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

財務ハイライト

連結売上高

連結売上高

連結経常利益

連結経常利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結総資産/連結純資産

連結総資産/連結純資産

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

■いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
■株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数控除後)により算出している。
■キャッシュフローは営業キャッシュ・フローを利用している。
■有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。