株主・投資家の皆様へ

株主、投資家の皆さまには、平素より格別のご高配を
賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに2024年3月期の事業の概要につきまして、
ご報告申しあげます。

第90期の総括および今後の方向性

Q1 2024年3月期のフクビ化学について

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動正常化とともに緩やかな 回復基調が続きましたが、「令和6年能登半島地震」による下押しの影響もみられました。今後も緩やかな回復が続くことが期待される一方で世界経済の減速、物価上昇、コスト高、人手不足などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 住宅業界においては、材料高による建築費の上昇や建築資材の供給不足等の影響もあり、2023年度の新設住宅着工戸数は、戸数800千戸(前年比7.0%減)、床面積62,195千㎡(同9.4%減)となりました。

住宅着工戸数.png

 

Q2 中期経営計画について

 当社グループでは、 2023年度からスタートした第7次中期経営計画 「技術を押出し、未来へワクワク(2023年度~2027年度)」に基づき、下記の3つの基本方針に則り具体的施策を実施しました。

・循環型ビジネス拡大

 建材事業本部では、低炭素社会の実現に向けた商品開発を推進しており、環境配慮型乾式二重 床『フリーフロアーE-CP』を新たに発売しました。また、積水ハウス株式会社、エスエスピー株 式会社の2社と共同して「塩ビクロス」廃材をアップサイクルしたデザイン建材を開発するなど、「塩ビクロス」のリサイクル促進に向けた取り組みを進めています。再生木製品事業では、2023年9月には、再生木では業界初となる「エコリーフ」を取得しました。『プラスッド』の環境価値を顧客へ明確にお伝えし、再生木製品事業の強みである「素材の質」と「デザイン性」を高めるとともに、「環境への配慮」を訴求することで競争力の向上と収益拡大を図りました。

・強靭な収益基盤構築

 第7次中期経営計画において事業ポートフォリオの再構築を重要課題としています。各事業本部にて将来性の高い分野へのリソースシフトや収益力の低い分野の見直しを継続して実施してい ます。また、新規事業の創出や新市場の開拓に向けて、協業先やアライアンス先の探索に取り組みました。収益改善においては、原材料の価格変動に対応するため適切な価格設定を行うとともに、高付加価値製品の販売強化を図りました。また、資本効率やキャッシュフローの観点から在庫の最適化にも取り組んでおり、生産計画や物流管理の見直しにより適正水準の維持に努めました。 原価低減では、生産性の向上を目指して押出成形の標準化モデルライン稼働による作業工程の簡素化やコスト削減を図りました。また、物流コストの最適化とお客様サービスの向上の両立を計るべく、拠点の見直しを実施しています。

・成長を後押しする組織づくり

 全社エンゲージメント調査結果は経営層と共有し、浮かび上がった課題認識を改善に向けた施策に落とし込んでいます。また、将来のタレントマネジメントを見据えて人材情報のデータベー ス化を進めるとともに、従業員の適性やパフォーマンスに応じた配置を進めました。従業員の健康増進の観点からは、健康経営宣言を発表し「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定されるなど、組織全体として従業員の健康管理に取り組んでいます。コーポレートガバナンスの強化においては、新たな経営執行体制を見据えて決裁権限の委譲や、社内規程の整備などに着手しました。各事業本部の自主性と戦略性を高めるとともに、意思決定の迅速化を図るなど次期からスタートするCxO体制を機能させる体制を整えてまいります。DX推進では、基幹システム(ERP)の導入が完了し、業務の効率化や情報の可視化による、ビジネスプロセスの変革や収益構造の改善に向けて取り組みました。また、併行して管理会計システムの導入を進めており、今後、財務戦略の策定や収益管理に生かしてまいります。

Q3 今後の対処すべき課題について

 コロナ禍からの社会経済活動が正常化する中、今後も緩やかな回復が続くことが期待される一方で、「令和6年能登半島地震」による下押しの影響、世界経済の減速、物価上昇、コスト高、人手不足など、社会環境において不確実性がさらに高まっています。そのような変化の中で持続的成長を維持していくために革新的な企業改革を行いつつ、社会や環境に配慮したビジネス活動を推進し、社会貢献することで価値創造に努めてまいります。
 しかしながら、長期的な成長と企業価値をさらに高めていくには、以下のような解決すべき課題があると認識しております。

①ガバナンス体制の整備
 新たな経営体制に変わり、当社グループはガバナンス体制を強化するこ  とを課題として捉えております。取締役会の機能を強化し、意思決定の透明性と迅速性を高め、株主や関係者に対する信頼の向上と企業価値の最大化を図ります。

②人的資本経営の推進
 当社グループは、中長期的な経営戦略の遂行および対処すべき課題への取り組みに際して、変化に対応し社会的な価値を創出することのできる優秀な人材の確保・育成が必須であると考えております。意欲のある経験値の高い人材を確保するとともに、持続的な成長を支える人材の育成、個々のパフォーマンスの最大化のため、環境の整備・改善に注力してまいります。

③サステナビリティ経営の推進
 サステナビリティ経営をさらに推進・強化すべく、組織・体制を整備し持続可能な社会の実現に向けた役割を果たしていきます。

④新規事業の創造
 新規事業の創造において、環境や社会の変化に合わせ、お客さまの期待を満たすために、既存事業と協力しながら、新しい価値やソリューションを提供する事業領域を掘り起こしていきます。より長期的な視野で未来の市場や社会のニーズを見極め、最先端の技術やビジネスモデルのイノベーションに積極的に挑戦していきます。サステナビリティ経営の観点からも、新規事業の創造は、社会課題の解決と企業価値の向上の両立に寄与する重要な取り組みと考えております。

Q4 株主様へのメッセージ

 当グループが主要マーケットとする国内住宅業界では、アフターコロナの消費行動の変化や建設コスト増の影響もあり住宅着工戸数は依然として厳しい状況が続くと予想されます。建設現場での人手不足や高齢化が深刻化し、職人の確保や技術継承なども懸念しています。
 一方で、環境に配慮した住宅や非住宅、リフォーム分野の重点事業領域へ販売戦略を推し進め、新たな市場を創造する活動を継続してまいります。
 2023年度よりスタートした第7次中期経営計画における3つの基本戦略「循環型ビジネス拡大」「強靭な収益基盤構築」「成長を後押しする組織づくり」を積極的に推し進めることで2025年3月期の連結業績は、売上高408億円、営業利益18億円、経常利益21億30百万円、親会社株主に帰属す
る当期純利益17億25百万円を予想しています。
 今後も中長期を見据えた計画の着実な実行により株主の皆さまのご期待に応える企業へと成長を果たす所存ですので、格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

財務ハイライト

連結売上高

連結売上高

連結経常利益

連結経常利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結総資産/連結純資産

連結総資産/連結純資産

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

■いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
■株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数控除後)により算出している。
■キャッシュフローは営業キャッシュ・フローを利用している。
■有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。