株主・投資家の皆様へ

「ESGを経営の中核に据えた事業運営」を
推進し、長期的な成長と企業価値の
さらなる向上を図る。

株主、投資家の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに令和5年3月期の事業の概況につきまして、ご報告申しあげます。

※環境(E:Enviroment)、社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance)

第89期の総括および今後の方向性

株主・投資家の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。時代の転換期を迎えつつある今、開発型メーカー・フクビ化学における経営戦略を八木社長に伺いました。

Q1 令和5年3月期のフクビ化学は、どのような一年でしたか?

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立が図られ、緩やかに回復が進む展開となりました。しかしながら、ウクライナ情勢等の不透明感や急激な円安の進行から、エネルギーコストや原材料価格の高騰による物価上昇の家計への影響、供給面での制約等に注意が必要な状況で推移しました。
 住宅業界においては、材料高による建築費の上昇や建築資材の供給不足等の影響もあり、令和4年度の新設住宅着工戸数は、戸数861千戸(前年比0.6%減)、床面積68,651千㎡(同3.5%減)となりました。

 

Q2 中期経営計画について教えてください。

 当社グループでは、令和5年度より5ヶ年の第7次中期経営計画がスタートしています。中長期ビジョンのあるべき姿「新たな技術開発と市場創造に絶え間なく挑戦し、快適な社会の実現に貢献する」「一人一人の成長と企業の成長が一体となることで、喜びを実感できるフクビグループを目指す」に対し、現状とのギャップを埋めるための戦略と位置付けました。企業理念に立脚した事業活動を具現化することによって、企業としての
存在価値を高めるとともに、VUCAの時代において安定的な経営を目指すため、3つの基本戦略を掲げました。

①循環型ビジネス拡大
 ・プラスチックリサイクルへ事業領域を拡大し、循環型社会に貢献する。
 ・環境配慮型商品のブランド展開とフクビの5R(Reduce、Reuse、Recycle、Renewable、Revalue)実践によりグループの存在感を高める。
②強靭な収益基盤構築
 ・当社の強みである、材料配合・成形加工技術に関するバリューポジションをさらに拡大する。
 ・社会のニーズに沿った商品開発や採算性を意識した事業PFの再構築、生産性向上によるさらなる原価低減を通じて付加価値をさらに高める。
③成長を後押しする組織づくり
 ・人的資本への積極的取り組みにより、従業員エンゲージメントを高め、社員の力が最大限発揮できる清新な組織への改革を加速させる。
 ・戦略を確実に実行するためのガバナンス体制を強化する。

 当社グループは、上記諸施策を推進することで100年企業へ向けた強固な基盤づくりを行い、さらには、地域の皆さまや社会に貢献する経営を継続することで、常にステークホルダーに信頼され、選ばれ続ける企業を目指します。

Q3 今後の対処すべき課題について教えてください。

 新型コロナウイルスの影響が正常化される中で、ロシア・ウクライナ問題が長期化し、世界的インフレが進むなど社会環境において不確実性がさらに高まっています。そのような変化の中で持続的成長を維持していくためには革新的な企業改革を行いつつ、社会や環境に配慮したビジネス活動を推進していくことが重要になってきており、フクビグループの事業活動を通じ、社会貢献することで長期的な発展を目指します。
 しかしながら、長期的な成長と企業価値をさらに高めていくには、以下のような解決すべき課題があると認識しております。
①ESGを経営の中核に据えた事業運営への転換
 企業の社会的責任がますます重くなる中で、今後もサステナブルな企 業であり続けるため、これまで以上にESGを意識した取り組みを進めます。企業理念「企業経営を通じて、地域に貢献し、環境共生型社会形成に寄与する」に立脚した事業活動を具現化し、企業としての存在価値を高め、環境・社会・企業統治の問題に意識を向けることでリスクの予測や対応を行いやすい安定的な経営を目指します。
②成長するための事業戦略立案と推進
 今般より新たに第7次中期経営計画を策定しました。3つの基本戦略「循環型ビジネス拡大」「強靭な収益基盤の構築」「成長を後押しする組織づくり」に則り、社会・環境を配慮した企業責任のもと、各事業で具体的施策を設定し、確実に実行することで外部環境に左右されない新たな価値を創造していきます。中でも既存事業の周辺領域、または新規事業への取り組みを加速し、グループ会社全体の成長に繋げてまいります。
③サステナビリティ経営の推進・強化
 サステナビリティ経営をさらに推進・強化すべく、組織・体制を整備し「サステナビリティ推進室」の新設と「サステナビリティ委員会」を立ち上げます。この委員会ではESGに関する情報の収集・分析を行い、持続可能な企業価値の向上に向けた施策を立案、実行していきます。また、サステナビリティに関する情報の開示やステークホルダーとのコミュニケーションの強化を目指し、持続可能な社会の実現に向けた役割を果たしていきます。
④持続的な成長を支える体制整備
 持続的成長を支える体制として、サステナビリティ推進室以外に常に新しいビジネスを探索する部署として、新事業企画室を新設しました。変化の激しい時代の中で、新たな芽を探求し続けてまいります。また、リスクマネジメントの強化を引き続き行います。地政学リスクやその他リスクに向け、順次BCP策定を進め、体制整備を図ります。

Q4 最後に、株主様へのメッセージをお願いいたします。

 当グループが主要マーケットとする住宅業界は、原材料価格高騰を背景とした建築価格上昇が消費マインドに与える影響などを要因として、今後も新設住宅着工戸数の伸びは弱含むと予想されます。一方で、環境に配慮した住宅の市場は成長が見込まれ、また、非住宅、リフォーム分野でも伸長の余地があることから、顧客の求めるニーズに真摯に耳を傾けて新たな市場を創造する必要があると考えています。
 令和5年度より新たにスタートする第7次中期経営計画における3つの基本戦略「循環型ビジネス拡大」「強靭な収益基盤構築」「成長を後押しする組織づくり」を積極的に推し進めることで令和6年3月期の連結業績は、売上高407億30百万円、営業利益16億80百万円、経常利益19億20百万円、親会社株主に帰属する当期純利益14億90百万円を予想しています。
 今後も中長期を見据えた計画の着実な実行により株主や投資家の皆様のご期待に応える企業へと成長を果たす所存ですので、格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

財務ハイライト

連結売上高

連結売上高

連結経常利益

連結経常利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結総資産/連結純資産

連結総資産/連結純資産

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

債務償還年数/インタレスト・カバレッジ・レシオ

■いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
■株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数控除後)により算出している。
■キャッシュフローは営業キャッシュ・フローを利用している。
■有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。