株主・投資家の皆様へ

株主、投資家の皆さまには、平素より格別のご高配を
賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに2026年3月期の事業の概要につきまして、
ご報告申しあげます。

第92期の総括および今後の方向性

Q1 2026年3月期のフクビ化学について

 当連結会計年度の売上高は、新築・リフォームを問わず求められる高性能断熱材の伸長に加え、非住宅建物向けや車両関連部材が復調したことから405億94百万円と前期比1.6%の増収となりました。

 利益面では、売上総利益は製造コストの上昇に対して生産性の向上に取り組み、123億74百万円(前期比3.2%増)となりました。営業利益は人件費やデジタル関連費用が増加したものの、売上総利益の増加によりこれを吸収し、17億33百万円(同11.8%増)の増益となりました。経常利益は為替差益等の計上もあり21億48百万円(同14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益等の計上により16億80百万円(同14.6%増)となりました。

Q2 中期経営計画について

 当社グループでは、第7次中期経営計画(2023年度~2027年度)の3年目として、「技術を押出し、未来へワクワク」のスローガンのもと、3つの基本方針「循環型ビジネス拡大」、「強靭な収益基盤構築」、「成長を後押しする組織づくり」に基づいた取り組みにより、企業価値向上に努めました。

・循環型ビジネス拡大
 環境配慮型商品のブランド展開とプラスチックリサイクル領域の拡大を加速させ、循環型社会の実現と持続的成長の両立を図っております。
 <新ブランドの立ち上げ>
 主力の再生木材『プラスッド』が好調に推移する中、『プラスッド デッキND KKAA』は「2025年度グッドデザイン賞」を受賞し、高い意匠性と環境性能が市場で高く評価されています。これまで培ってきたパブリック空間向けプロダクトの開発や空間づくりを起点に、多様な人やアイデアが交わり、まちと人の関係を育むプラットフォーム型事業ブランド『Fukuvi commons』を立ち上げました。
 <地域資源の活用と革新技術>
 奈良県産材や宮城県産材を活用した製品開発を通じ、地域との連携を進めました。技術面では、CFRTP(熱可塑性炭素繊維複合材)の一貫製造プロセスが「NEDO省エネルギー技術開発賞」を受賞したほか、欧州をはじめとするグローバル自動車メーカーの環境規制に対応するため、他社に先駆けてフッ素化合物(PFAS)を一切使用しない『光ガイディングバーPFASフリータイプ』の開発に成功しました。
 <社会課題解決への取り組み>
 廃校を活用した産学官連携による断熱改修実証プロジェクトを開始し、次世代型学校整備モデルの構築など既存建物の長寿命化と環境負荷低減に貢献してまいります。

・強靭な収益基盤構築
 材料配合・成形加工技術という独自の強みを活かし、資本コストを上回る収益性の実現に向けた最適化を進めました。
 <断熱事業の強化>
 高性能断熱材『フェノバボード』の需要拡大を受け、フクビ岡山(完全子会社)にて第2工場の建設を決定いたしました。これは経済産業省の「大規模成長投資補助金」に採択された事業であり、福井との2拠点体制の確立により、BCP(事業継続計画)対応力と安定供給体制を同時に強化いたします。
 <成長分野の伸長>
 工場・倉庫向け商品『PLANTOOL』や、自動車内装のイルミネーション部材などに使用される『光ガイディングバー』が好調に推移し、収益を牽引しております。
 <事業の再編>
 2026年4月より、グループ内の工事事業を統合し「フクビ・リフォジュールアーキテクツ株式会社」に再編いたしました。これにより、リソースの最適配置と効率化を加速させるとともに、営業力・製品力・工事ネットワークを一層強化し、さらなる事業の拡大と収益性の向上を図ってまいります。

・成長を後押しする組織づくり
 「企業価値向上2030」の達成に向け、人的資本への積極投資とガバナンスの高度化を推進いたしました。
 <組織風土の刷新>
 柔軟な働き方の推進の一環として男性の育休取得を推奨するとともに、周囲の業務をサポートする従業員への「育児休業取得支援制度(特別手当)」を新設いたしました。これらを通じ、多様な人材が能力を発揮できる清新な組織風土を醸成し、エンゲージメントの向上を図っております。
 <AI・デジタル戦略>
 全社員対象の「AI学習プログラム」によるリテラシー底上げと、ガバナンスの観点から「利用ガイドライン」の策定を並行して実施いたしました。
 <未来への挑戦>
 「AIチャレンジプロジェクト」を実施し、業務効率化のみならず、予測困難な(VUCA)時代において新たな価値を創出するイノベーション体制を加速させております。

Q3 今後の対処すべき課題について

 当社グループを取り巻く経営環境は、世界的な地政学リスクの高まりや資源価格の高騰、為替相場の変動に加え、デジタル技術の進展に伴う産業構造の変化など、依然として先行きが不透明な状況にあります。
 このような市場環境の「変化」を「新たな成長への機会」と捉え、既存のビジネスモデルの枠組みを超えた変革を加速させていく局面にあると認識しております。従来にない発想と行動で強固な経営基盤を構築するとともに、次世代を見据えた成長投資とイノベーションを推進するため、以下の重点課題に取り組んでまいります。

①循環型ビジネスの拡大と推進 
 当社グループは、プラスチック製品の開発型メーカーとして原材料の配合と成型技術の分野で高いポテンシャルを有しています。

 第7次中期経営計画では、「循環型ビジネス拡大」を基本戦略の1つとして掲げ、フクビ独自の環境配慮型商品認証制度「Fukuvalue」の認証商品充実を図ってきました。現下の不透明な国際情勢において、当社グループの果たすべき役割はこれまで以上に高まっており、長年培った思想や技術をさらに進化させ、環境負荷の少ない製品開発や設計に最大限生かすことで社会課題の解決と収益機会の拡大の両立を進めてまいります。具体的には、木材資源や再生プラスチックの活用を加速させるとともに、成長牽引分野として位置付けている断熱事業において、大規模な生産拠点への投資を実行いたします。

②強靭な収益基盤の構築と資本コスト経営の実践
 当社グループの価値向上に向けて成長戦略と財務戦略を両輪で進めてまいります。

 成長戦略では、新たな事業領域へのチャレンジとして、2026年4月に建設工事を担う「フクビ・リフォジュールアーキテクツ株式会社」をスタートさせました(以下FRA)。当社グループの工事関連事業をFRAに統合・集約することで、メーカーとしての製品力と施工品質を融合させた、より付加価値の高いサービスを提供し「稼ぐ力」につなげてまいります。

 また、2024年1月にスタートさせた新基幹システム(ERP)により可能となったデータ分析を事業ポートフォリオの最適化に生かすとともに、ROIC(投下資本利益率)などの資本効率を意識した経営の実践を進めます。これにより創出した資金については、成長領域への投資と株主還元を念頭に最適なアロケーションを目指してまいります。

③グローバル基盤の強靭化
 海外市場の中では、特に北米市場について、成長が見込める有望市場として認識しており、国内外の体制を整えた上で推進に臨みます。既に建材品の一部や車両部材は好調に推移しているものもあり、それら製品の拡大をテコに強固なグローバル事業基盤を確立してまいります。

 サプライチェーンについては、中東情勢をはじめとする国際情勢の変化が激しい中、動向を見極めつつさらなる強靭化を図っていく必要があると認識しています。また、採算改善やリスク分散の観点から最適な生産アロケーションの検討を進めてまいりましたが、2026年度中に国内生産製品の一部について、ASEAN地域への移管を実施する予定です。

④人的資本経営の推進とAI活用
 人的資本経営推進の観点から、人への投資を不断なく実施することで従業員の成長を後押しする組織を構築してまいります。従業員が自主的にキャリア形成に挑戦できる「チャレンジ・ジョブ制度」の運用や、全社エンゲージメント調査結果の分析を通じて安全・安心で働きがいのある職場環境の整備を進めます。

 AI活用では、「AIイノベーション・チャレンジプログラム」の社内公募を実施したところ、多数の社内応募があり、その中から数件を採用しトライアルに臨みます。また、「AI学習プログラム」を活用して全社的なデジタルリテラシーの向上を図るとともに、業務効率の改善や競争力強化につなげてまいります。

Q4 株主様へのメッセージ

 当社グループが主要マーケットとする国内住宅業界では、金利上昇による住宅取得意欲への影響に加え、エネルギー費や物流費、各種資材価格の再高騰に伴う建設コスト増が続いており、新設住宅着工戸数は引き続き低水準での推移が予想されます。また、建設業界全体の構造的課題である人手不足と高齢化は引き続き顕在化しており、生産性向上や施工省力化へのニーズは高まりつつあります。

 こうした先行き不透明な環境下において、当社グループは、特定の地域やルートに依存しない調達網の多角化によるサプライチェーンの強靭化を急ぐとともに、コスト変動の可視化と適切な価格転嫁を実施し、安定的な収益確保に努めてまいります。同時に、この変革期を持続的成長への機会と捉え、建築物省エネ法改正により今後の需要増が期待される高性能断熱材『フェノバボード』の増産体制構築や、環境規制に対応する自動車内装向け部材のPFASフリー対応『光ガイディングバー』など、成長牽引分野への戦略的投資を加速させます。さらに、既存建物向け市場におけるリフォーム・リノベーション事業や非住宅建築物分野の成長を確実なものとするため、グループ内の工事事業をフクビ・リフォジュールアーキテクツ株式会社(完全子会社)に統合し、工事請負業の専門性と機動力を飛躍的に高めることで、単なる資材提供に留まらないソリューションビジネスへの転換を推進してまいります。

 第7次中期経営計画における3つの基本戦略「循環型ビジネス拡大」「強靭な収益基盤構築」「成長を後押しする組織づくり」を積極的に推し進め、ROEの向上など持続的な企業価値の最大化を目指してまいります。
 なお、2027年3月期第1四半期の業績は、売上高102億円、営業利益4億円、経常利益5億円、親会社株主に帰属する四半期純利益4億30百万円を予想しています。通期業績につきましては、「未定」とし、合理的に予測可能となった時点で公表いたします。

(中東情勢の影響)
当社グループは、主にナフサ由来であるプラスチックを原材料とする製品を製造し事業展開をしております。今般の中東情勢悪化による影響について、現時点で2026年6月末までの原材料調達の目処は立っておりますが、2026年7月以降の原油価格の急騰や安定的な原材料調達への懸念などがあり、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 今後も中長期を見据えた計画の着実な実行により株主の皆さまのご期待に応える企業へと成長を果たす所存ですので、格別のご理解とご支援を賜りますようお願い申しあげます。

財務ハイライト

連結売上高

連結売上高

連結経常利益

連結経常利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結当期純利益/連結1株当たり当期純利益

連結総資産/連結純資産

連結総資産/連結純資産

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

自己資本比率/時価ベースの自己資本比率

キャッシュ・フロー対有利子負債比率/インタレスト・カバレッジ・レシオ

キャッシュ・フロー対有利子負債比率/インタレスト・カバレッジ・レシオ

■いずれも連結ベースの財務数値により計算している。
■株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数控除後)により算出している。
■キャッシュフローは営業キャッシュ・フローを利用している。
■有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としている。